熊本大学大学院医学薬学研究部(医学系)生体機能薬理学分野


 
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研究概要

 
■これまでの研究の流れ

  これまでに、幅広く、さまざまな循環器作用薬ならびに腎臓作用薬の薬理作用を個体レベルから分子レベルに至るまで研究をおこなってきた。 特に、現在、高血圧、心臓疾患、腎臓疾患、動脈硬化、脳卒中等のさまざまな疾患で注目されているレニンーアンジオテンシン系(RA系)の研究を一貫して行なってきた。 さまざまな病態モデル動物を用いてRA系阻害薬であるアンジオテンシンII受容体拮抗薬ならびにACE阻害薬の基礎薬理学的研究を行ない、これらの薬剤が高血圧の治療に有用なだけでなく、心肥大、心不全等の心疾患、血管肥厚、腎疾患等の臓器障害を抑制することを証明し、これらの薬剤の臓器障害抑制機序について分子細胞レベルで明らかにしてきた。 すなわち、アンジオテンシンIIによる臓器障害には、AT1受容体を介する心筋細胞やメサンギウム細胞の形質変換、TGF-βや細胞外マトリックス(フィブロネクチンやコラーゲン等)の発現亢進、PDGF受容体やEGF受容体の活性化、さらにMAPキナーゼや転写因子AP-1の活性化作用が重要であることを証明した。 現在、臨床の場で、RA系阻害薬が大変脚光を浴びており、これまでに報告した一連の基礎研究成果は、臨床医学へフィードバックできたと言える。

 
■生体機能薬理学におけるこれから

  現在最も重要な研究テーマは、これまでに築いた、さまざまな病態モデルでの臓器障害の機序の成績を基にして、臓器障害の分子機序を細胞内シグナル伝達系レベルで解明し、創薬に発展させることである。 細胞内シグナル伝達系はすべてのストレス刺激による細胞応答の中心的存在であり、創薬の宝庫と考えています。 現在、心肥大モデル、血管肥厚モデル、虚血による血管新生モデルにおける細胞内シグナル伝達系の役割および治療への応用を検討している。 既に、MAPキナーゼファミリーに属するERKやJNK、さらには転写因子AP-1の構成蛋白であるc-Junの優勢抑制型変異遺伝子を作製しin vivoでラットの血管壁に遺伝子導入し、それぞれの活性化を阻害するとバルーン障害による血管平滑筋細胞の増殖を抑制し、血管内膜肥厚を抑制することを報告している。 すなわち、ERK、JNK、AP-1が血管病治療のターゲットになりうることを証明した。 また、遺伝子導入法を用いて、MAPキナ−ゼファミリー(ERK、JNK、p38)やc-Junの、血管平滑筋細胞やメサンギウム細胞の増殖ならびに遺伝子発現での役割および分子機序について明らかにした。 今後は、臨床教室や産業界と共同でトランスレ−ショナルリサーチを発展させ、遺伝子創薬に結びつけたいと考える。

 
■現在の主な研究テーマ
現在の主な研究テーマ
(1) 血管リモデリングの分子機構と細胞内情報伝達系の創薬への応用
(2) 血管新生の分子機構と細胞内情報伝達系をターゲットにした創薬
(3) 心臓の虚血再灌流障害の分子機序
(4) 心肥大、心臓リモデリング、心不全の分子レベルでの病態解明
(5) 高血圧症の病態解明
(6) レニン・アンジオテンシン系の臓器障害における役割解明
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